ジャズCDショップはやはりおしまいなのか

 

ついこの間3ヶ月ほどアルバイトしていたジャズCD店を社員さんのパワハラがひどいのでやめました。(パワハラについて触れるつもりはありません。良い社員さんもたくさんいてこれはCDショップの体質というより個人の問題の気がしたからです。)

 

思わぬ形で早く辞めることになったのですが、あのバイトはクソだったなと片付けてしまうのも150時間以上働いたのでもったいないと思い、振り返って見たいと思います。

 

 

まず僕がそこで働こうと思った理由は単純で周りがカレー激戦区でお昼休憩にこれはこれは美味しいものが毎日食べられる!楽園だ!と思ったからです。

 

 

偏差値3みたいな理由ですね

 

実際カレーを食べに行くことがモチベーションとなり良かったのですが小銭を稼ぎに行っといてしっかりお昼を食べると全くお金が貯まらないのでこの計画はだんだん頓挫することになります。。

 

 

面接でこんな志望動機を披露してしまったら店長がインド人でもない限り大抵採用されないので一応こう言いました。

 

①ジャズのマーケットに常に触れることで新たな知識を獲得したい

②レコードの熱が再来していると言われるがそれが本当かこの目で確かめたい、また愛好家はレコードのどこに惹かれるかを現場を通して知りたい。

 

 

今思えばこの志望動機じゃ僕が店にどう貢献できるか全く説明できてなくて店側の僕を採用するメリットが全く持って不明で、就活メンターなるものがいればこっっぴどく叱られそうですが持ち前の好青年感でめでたく採用してもらいました。

 

 

配属されたのは新品CDを取り扱うところでレコードに触れる機会はほとんどないので②を達成できないと思いましたが少しわかったので先にそれだけ説明します。

 

 

僕の大好きなくるりが今までのオリジナルアルバム全てをレコードで再発売するというニュースを聞いたのが2016年。それからもちょくちょくタイムラインでCDの売り上げが減少するもののレコードの売り上げは増加しているという記事を見かけました。こんなサービスもあるくらいだし、レコード=チルアウトの代名詞だなと思っていました。(このサービスをやっているのがミス東大No.4の村岡紗綾さん。生で見たけど本当に可愛い。見かけた場所がcero主催のフェスっていうのもポイント高い)

 

vinylcruise.com

 

それを見て僕は勝手にナウでヤングな人たちがレコードを買っているのかと思いましたがジャズに限っていうと過去の名盤や廃盤をいつものおじさんが大量に買うだけでした。それが本当にお金に糸目をつけず大量に買うので数字だけ見ればレコード売れてるな!ワハハハハハハハ‼︎となるのですがあまり良い傾向とは言えないと思いました。彼らは家で自分のためにかけるだけでフロアにかかることは金輪際なく波が広がることが期待できないからです。

 

 

 

あっ、もちろん①の目的は十分に達成できると感じました。まあ3ヶ月だと吸収できるもくそもないんだけど、、いつかできるだろうなとは思いました。

 

 

 

 

レコードの話はとりあえず置いといて、最初に店頭に立った感想としては客がジジイ!!!!!!!!!!ジジイしかいない!!ここは墓場か

 

 

一応オフィスや大学が近くにある土地にもかかわらずジジイ

店の入り口がジジイにしか見えない魔法でもかかっているのか

 

ある程度は予想していたんですがここまでとは思いませんでした。

 

 

それもそのはずで品揃えがティーン向けではないんですね

エスペランサ・スポルティングロイ・ハーグローヴの在庫が一つもないことを知った時には戦慄しました。(どちらも21世紀のジャズを代表する、グラミー経験もあるアーティスト、しかも聴きやすい)

 

代わりにブルーノートの1500番台や4000番代の名盤のリイシュー盤は店頭に並べきれないほどたっぷり在庫を抱えている。

 

やっぱりジャズショップはもうダメだ。

 

 

これに関しては卵が先か鶏が先か(客がジジイだからこの品揃えなのかこの品揃えだから客がジジイなのか)みたいなとこがあるのでただ糾弾するわけにもいきません。

 

 

ですが、一つ物申せることがあってそれは今年のジャズシーン一番の注目作

カマシ・ワシントンの「HEAVEN & EARTH」

コルトレーンの発掘盤を除けば間違いなく今年で一番売れるアルバムです。

 

f:id:qshinshin:20180825135701j:plain

 

 

最前線を走るジャズ・アーティストは幼い頃から家族・土地・風土・学校といったあらゆる面から教育を受けているのが当たり前になっています。今やなんの教育も受けていないプレイヤーがぽっと出でシーンを動かす時代は終わりになりました。天才1人だけで作れる音楽が主流ではないからです。

 

カマシ・ワシントンも例外なくその一人でお父さんもジャズサックスプレイヤーで西海岸の独自の風土で育ち高校・大学と音楽を専攻しています。

ちゃんと教育を受けているので必ずルーツや参照先があります。その線を読み解いてこそ意味があると僕は思うのですがそこが店舗では客に周知することができていない。

 

 

ただドーーーーンと国内盤・輸入盤・LPを展開するだけでカマシがカマシとして独立している。

 

しばらくしてから柳樂光隆さんのJazz The New Chapter 5 が併設されるようになりました。

 

 

 

ぶっちゃけ対応が遅いし、参照先を試聴機にいれてあげてとかしないとそこまで意味はないような気がしました。

finders.me

 

上のリンクにある通り、ジャズというジャンルはこれを聞くべき!というのが比較的固まりやすくどのプレイリストも似たような感じになってしまいがちです。

そんな中レイアウトや試聴機の順番などで店の独自性を出して優先順位をつけやすいのが店舗という形態です。

 

 

ちなみに今回のカマシの参照先で本人がまず語ったのは、ストラヴィンスキープロコフィエフといったクラシックのピアニスト。

 

 

じゃあね、、私たちの店舗はメディアと組んで、、、ただ陳列するだけじゃなくて、、、、ルーツを提示するために、、、、彼らのCDを試聴機にセット、、、、よっこいしょ、、あれどこだ、、、、CDがないぞ、、、なんでだ、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうここはジャズ専門に取り扱う店だから!!!!!

 

 

 

 

 

 

結論としてジャズがおしまいなのではなく、音楽をジャンルごとに分けて建物も分けてしまうやり方には限界がきていると感じました。このやり方だと他ジャンルに渡る交流を伝えることができないからです。

 

ケンドリック・ラマーの「To Pimp A Butterfly」とかヒップホップの棚だけに置いてあるのが勿体なさすぎる。(ジャズのトップアーティストたちが演奏に参加している)

 

 

ブログを毎日続けるためにも今日は書きませんがショップの存在価値は大いにあります。ただ全体的な構造を今のうちに変えないとせっかくの存在価値も無くなってしまうのではと感じました。